”挑戦”の心を失わずに
写真家・桃雲氏が講話 自らの足跡を語り
岳南朝日 平成9年3月6日




富士宮市教委学習生涯課は三日、私立富士根北小学校(伊藤忠正校長)でボランティア学習講座を開き、同校の三年生から六年生が「やればできる」と題した写真家・伊志井桃雲氏の講演に耳を傾けた。


同講座は、強く生きようとする心や思いやりの心を育てる目的で開いているもので、昨年に引き続き、二回目。今回は視覚障害というハンディを背負いながらも写真家として力強く生きる伊志井氏を講師に、やる気と生きる喜びについてを学んだ。
 「私は富士山に助けられた」と話し始めた伊志井氏は、視力が極限に低下し生きることに挫折しかけたとき、自分が撮った富士山の写真が「生きよ!がんばれ」と励ましてくれたような気がしたことを紹介し、富士山への強い思いを説明。東京から富士宮市へ越してきて奥さんの協力を得ながら四季折々の富士山を撮ったこと、バラ園や農園を手がけてものを育て体を動かす喜びを味わったことなどを話しながら、「大好きなカメラと自分が育てた野菜を手にしたとき、光を失った苦しさが次第に軽くなっていくのが分かった。大切なのは毎日をいかに楽しく満足に過ごすかなのだと思う」と生きる姿勢を示した。
 また「もっと歩きたい」という思いで盲導犬を使う決意をし訓練を受けた一ヶ月間や盲導犬アイリーンとの出会いを話しながら、アイリーンがいかに自分の目となり生活を支えてくれているか実演を交えて紹介。アイリーンと奥さんをアシスタントに富士山の写真を撮った日々、念願の写真集を出した話を加えながら「活動幅を広げていくことは楽しい。挑戦心を失わないことが大切だ」と話した。
 さらに全日本視覚障害者のマラソン大会で初出場初優勝を果たしたこと、昨年十二月に開かれた朝霧マラソンで六百人中二十四位になったことを話し、「やればできる。可能性に挑戦することが最も大切。みんなもこれだけは人に負けないというものを探して、その力を伸ばしてほしい」と呼びかけた。また現在炭焼きに挑戦していることを伝え「挑戦は楽しい。成功した喜びを満足や自信に変えよう」と力強く訴えた。
 講演後は榛原中教諭が伊志井氏のこれまでの人生を書きとどめた文「輝きは心の中に」を地元家庭文庫の近藤俊子さんが朗読。児童達は、伊志井さんが撮った写真を見ながら熱心に耳を傾け、盲人の写真家としての力強い生き方に理解を深めていた。